就活生組合(就活生ユニオン) ( @ShukatsuUnion ) という団体がある。
去る11月23日に「就活ぶっこわせデモ」と称し、新宿でデモ活動のようなことをした彼らを、UStreamなどで視聴した人も少なくないことだろう。
単刀直入に、彼らの主張は荒唐無稽で意味を成さない。なぜだか説明したいが、きっと彼らは高学歴で論理的に何かを述べることが得意なのだろうけれど、僕はそこまで頭がよくないし、論理的文章力もない。親知らずを抜いた直後で頭痛もすると言い訳をさせてもらった上で、気づいた点だけ箇条書きにした。
■就活生―企業間対等という論理
この理念は察するに、労働基準法第二条「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」に多くの影響を受けているものと思われる。ただ、これは既に労働している者と既に雇用している者との対等についてを述べているはずだ。
翻って見るに、就活生とは就職活動中の学生を指すのであるから、当然の如く労働者ではない。(労働者の法的定義は労働基準法第9条を参考)また、広義の意味での労働者(内定者)でもない。また、企業の一部にとって就活生は消費者という見方も出来る。消費者の権利が叫ばれて久しいが、彼らはその感覚を就活生-企業の間に準拠させようとしているのではないだろうか。これは言う人のところの「お客様感覚」というところだ。少なくとも「今後、労働者になるのだから、労働基準法に準拠して対等であるべき」という論理を持ち出すのなら、それは決定事項でもないのだから無理な話だ。
■何を目指しているのか
組合代表の宮内委員長に「そのまんま」の質問をしたTwitterユーザーへの返信があったので、引用する。
お問い合わせありがとうございます。いま、就活のルール…例えば12月に説明会解禁、4月に採用活動解禁など…は、すべて企業側(経団連)が決めたものです。契約というものは対等な立場でするもので、雇用契約とそのプロセスも対等な立場で結ばれるべきまのだと考えています。 / そのための方法は二つあります。一つは法律をつくること。二つは就活生が力をもって、このルールを作れとせまることです。二つ目の方法を実践するための組織が就活生組合です。また、法律を制定しろと迫るのにも、組織としてしたほうがいい。 / この二つの方面から、採用活動者と経済的弱者たる就活生との対等な契約の確保をする。就活生組合は、そのための組織です。お答えになっていれば幸いです。
まず、「例えば12月に説明会解禁、4月に採用活動解禁など…は、すべて企業側(経団連)が決めたもの」としているが、まず第一に企業の採用活動を企業が決めるのは全くもって自然な話だ。それを大学側がどうこう指摘して、両社で確実な合意プロセスを踏めというのは、企業にとっては企業活動の主権侵害だろう。
ところで対等なプロセスうんぬんというのであれば、雇用活動については大学側からも指摘はされている。例えは平成20年7月には社団法人国立大学協会、公立大学協会、日本私立大学団体連合会の3団体会長連名で要請書が出され、その要望として「正式内定日は卒業及び修了学年の10月1日以降とし、正式内定開始前の9月30日以前に内定承諾書、誓約書、連帯保証書の提出を求める等、学生の自由な就職活動を妨げ、心理的な負担となる拘束を行わないこと。」と明記している。
また、経済同友会は2014年度から新卒採用活動の早期化是正を打ち出している。『新卒就職採用活動の適正化に関する意見』(2011年1月21日)によれば、
①広報活動の開始時期
(現 状)大学3年生の 10 月~
(是正案)大学3年生の3月以降とする。(修士課程は1年生の3月以降)
②選考活動の開始時期
(現 状)大学4年生の4月~
(是正案)大学4年生の8月以降とする。(修士課程は2年生の8月以降)
としており、この発表を受けて社団法人国立大学協会は手放しの歓迎をしている。同様に日本経団連もこの前後に12月スタートの就活について発表をし、手放しとまではいかないが、一定の評価をしている。ここまでを見て、企業側(経団連や経済同友会)が全く大学側と折衝していないのは明白だろう。
また、「一つは法律をつくること。」「二つは就活生が力をもって、このルールを作れとせまること」とあるけれども、法律はフレキシブルな対応が苦手だ。(法律の改正には国会での発議から討論、そして採決、公布、施行と長い流れが生じる。)本当に法律にするべきなのだろうか?例えば政令や閣議決定でもいいのではないのだろうか?そして、このルールを作ることの為に、法律案を策定しているようだけれども、ではロビー活動をしているのだろうか?実際に法律を変えようという動きが、正直全く見えない。
■どれだけ寄付を募ればいいのだろう
大幅な赤字というのがどれだけの赤字を指すのか不明だが、サーバー代とドメイン取得代金は一般的に「大幅な赤字」には成り得ない。
念の為解説をしておくと、一般的にサイトの公開にはサーバーが必要になる。(レンタルサーバーの多くでは、適当なドメインを割り振られるので、ドメインは必ずしも取得しなければならないものではない)このブログでも使っているロリポップサーバーとムームードメインというサービスは、低価格帯のレンタルサーバーサービス会社として著名なのだが、ムームードメインを利用してドメインを取得した場合、サーバーの初期費用が無料になる。最も一般的なドメインである「.com / .net / .org」は年間950円、レンタルサーバーは月額105円からなので、年間のサーバー代とドメイン取得代金は最低2000円近くでどうにかなることになる。東京都内でアルバイトをした場合の最低賃金でいえば3時間分で、取り敢えず1年間の運営ができるのだから、これは「大幅な赤字」とは言えないだろう。
あと、「100円200円で構いません」と言っているが、たぶんその金額では振込手数料のほうが高くなるだろう。
ぶっちゃけ金が目的なのか?とも思えてくる。それぐらい前掲したアカウントでは寄付の募集をしている。
■代表の資質
代表の宮内春樹氏( @HaruYauchi )も不思議な人だ。
※ツイート消える可能性もあると思うので、一応補完

「日本のテロ対策の最高責任者」という下りに、こちらが赤面してしまいそうだけれど(「日本のテロ対策の責任者」ならともかく、「日本のテロ対策の最高責任者」は、2011年12月現在、野田佳彦内閣総理大臣のはずだ)、いったい叔父様の職業で何が変わるというのだろうか…。このデモ活動の裏には政府の力や役人の力がかかっていることを暗喩したいのだろうか。全く意味が分からない。ちなみに余談だが、彼の言う「日本のテロ対策の最高責任者」が、「日本のテロ対策の責任者」という意味で使われていたのであれば、外務省でテロ対策を主管としているのは外務省領事局邦人テロ対策室、ないしは海外邦人安全課であるから、その長たる外務省領事局邦人テロ対策室長ないしは海外邦人安全課長なのだろう。外務省幹部の役職と氏名は同省ホームページに公開されているが、まああとはggrksということにしておく。
■個人的所感
第一、就活うまくいっている人を彼らは研究しようと思わないのだろうか?僕が言えるセリフではないけれど、1年目も2年目もフル単位を取っていて、3年前期までに卒業要件の80%以上を取得している学生だっている。学業に差し障りがあるというけれど、それはそれだけのエントリーをするなりの就活をしているからではないのか?
別に彼だって慶應の2年生なわけでしょ?慶應経済の友人もいるけれど、上手くいっている人は上手くいってる。そんなのは、極端な話東大に行って無職で自宅警備員も知ってるし、偏差値的には下から数えたほうが早いような大学から、就活生人気ランキング上位で、実利ある会社に就職した人だって知ってる。それを大学側や企業側の問題としている時点で、プロ市民でしかない。
あと、あのひろゆき氏も「学生がデモで『大学生活の結果を企業に見てほしい』と思っているのであれば、デモをするよりもスキルアップした結果を見せつけるのがベストだと思う」とSPA!で語ったらしい。(ニコニコニュース)まあともかく、お客様主義でしかないんだろうな、というだけ。
そろそろ「もうやめて遊戯」と杏子が走ってきそうなのでこのへんで。
つうか、この記事書く前に取材にでも行けばよかった、後悔。