カテゴリー : 意見評論

日本対中国の構図。

経済的な意味でも頭が上がらない国になってしまうのだろうか。

「最強経済大国は中国」米世論調査

 【ワシントン=黒瀬悦成】米議会専門誌ナショナル・ジャーナルと保険会社オールステートが8日公表した合同世論調査で、米国民の47%が、現在の「世界最強の経済大国」は中国だと考えていることが明らかになった。

 米国が最強と答えたのは20%で2位にとどまり、中国の膨張を前に、米国民の間で自国の将来についての悲観的な見方が広がっていることが浮き彫りになった。日本を挙げた人は11%で3位だった。

 「20年後の最強の経済大国はどこか」の問いに対しても、中国との答えが37%だったのに対し、米国は34%だった。調査は、11月29日~12月1日に全米の18歳以上の男女1200人を対象に電話で実施された。
(2010年12月10日 読売新聞)

【ブログ】日本経済、もうしばらくは世界第2位か

ウォール・ストリート・ジャーナル 12月10日(金)10時17分配信
 日本は世界第2位の経済大国の座を成長著しい中国に奪われるだろうと、エコノミストは以前から予想してきた。しかし、2010年の経済成長を測る期間も10~12月期を残すだけとなるなか、日本政府は9日、同国が依然として米国に次ぐ経済規模を誇っていると発表した。だた、これは、今夏の猛暑、省エネ型薄型テレビの出荷増、エコカー需要が貢献したにすぎない。

 つまり、7―9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)が年率換算で4.5%増に上方修正されたからだ(1カ月前に公表された速報値は3.9%増だった)。この改定値はエコノミストの予想4.1%増も大幅に上回った。さらに内閣府は、1―9月期のGDPが3兆9594億ドル(約354兆1245億円)となり、同期における中国のGDPを、わずかながらだが、126億ドル上回ったと発表した。

 これは、最近の外交的な失策のために苦しい立場にある菅直人首相にとって歓迎すべきデータだ。現政権は外交問題に足を引っ張られ、沈滞する経済に対して全力で対応することが出来ないからだ。

 7―9月期の成長に貢献したのは、企業の設備投資が回復したことと、記録的な猛暑となった夏の間に消費者がクーラーの購入に走ったことである。さらに、政府の補助金プログラムが終了するか、規模が縮小される前に、薄型テレビ、冷蔵庫、自動車など、同プログラム対象の環境に優しい製品に対する駆け込み需要があり、個人消費も伸びたことも貢献した。いわゆる「エコポイント」制度は、その波及効果が非常に大きかったため、日経新聞などは同ポイントを2010年のトップ・トレンドの一つとして挙げたほどだ。

 9日に発表されたGDPデータは、窮地に立たされている菅首相にとって早めのクリスマス・プレゼントとなったが、エコノミストによると、このようなうれしいニュースは意外と長く持続する可能性もあるという。10―12月期中、エコポイント・プログラムが終了する前に、家電製品の個人需要が十分大きかったため、同期に予想されていたGDPの収縮が和らいだ可能性もある。みずほ総合研究所のシニア・アナリスト、草場洋方氏は「この駆け込み需要、特に薄型テレビの好調な需要は、『エコカー』補助金の終了の影響で10―12月期に予想された消費の落ち込みをある程度穴埋めするだろう」と指摘した。

 しかし、日本経済の要である輸出業者が円高に苦しめられているなか、駆け込み需要だけで10―12月期も日本の経済成長が中国を上回るかどうかはさだかではない。

こういう議論を始めると、たぶん開始早々「人口比GDP考えたらまだまだっしょ!ってか人権(ry」とか仰る人がいるのだが、もっと真摯にこの状況に目を向けなければならないと思う。正直、中国の爆発的な、というか産業革命に近いとも思うのだけれど、は、我々の想定をはるかに超えているし、20年後に中国が1位であることは僕も否定できない。

ただ、これからの日本がどうやって隣国でもある中国と付き合っていくか、というところで戦略の見直しが必要になってくるんじゃないかと思う。例のレアアース問題では、豊田通商がいち早く諸外国でのプラント建設を宣言して、ベトナムを含む数か国に1万数千トン(日本需要の約半分)を確保すると発表した。これは、脱中国の動き。

中国市場に対する輸出というのも勿論鍵だ。いわゆるチャイナ・リスクが付きまとう中でも、大きな市場が隣にあるということを見逃さない人も多い。自動車の販売台数が中国ではとんでもないことになっている。自動車産業というのはすそ野が大変広い。そういった産業に対して日本が食い込む「輸出」業界は中国と近寄る戦略なのだろう。

意識しなければならないのは、中国と日本の背比べではなくて、その関係性から生まれるこれからのパートナーシップの在り方なのだ。戦略的互恵関係という言葉をもう昔から使ってきているが、この長い時期に日中関係は変わってしまった。これからを考えた新しい関係を考える時期に、政府としても大きな指針を決めるときだろう。

宇野康秀氏が退任する。

USENの宇野社長が退任する。

USEN・宇野康秀氏が独白 「なぜ私は辞めるのか」
東洋経済オンライン 12月7日(火)10時52分配信

 時代の寵児が表舞台を去る。11月26日、有線放送最大手USENの宇野康秀社長(47)が退任、代表権のない会長に退いた。後任社長には外食チェーン、レックスホールディングス出身の中村史朗顧問(38)が就任。

 USENは事業不振で業績が低迷。金融機関30行と組んだシンジケートローンの財務制限条項に抵触する状態が続いていた。業界では「金融機関からの退陣要請があった」ともううわさされる。だが宇野氏はあくまで自身の意思だと説明した。「1998年の就任から10年間を節目と考えていた。多くの人に迷惑をかけたので、事業整理が一段落した今、ケジメをつけたい」。

 USENはこの1~2年、創業来最大の危機にあった。無料動画配信サービス「ギャオ」など新事業が不振にあえぐ中、2008年秋にリーマンショックが直撃。株評価損も重なり、総額1100億円超の最終赤字を計上した。

 これを受け、09年4月にはギャオを売却。映画配給ギャガ、カラオケ、ネット接続、さらに宇野氏自らが創設した人材紹介会社インテリジェンスと、拡大してきた業容を再び縮小した。それでも今年年初に発表した09年9~11月期決算では、純資産わずか10億円、自己資本比率0.4%と、債務超過ギリギリまで追い詰められていたのである。

■社運賭けた事業が失敗

 09年11月にソネットエンタテインメントと提出した1枚のリリースは、当時の経営の逼迫状況を物語る。

 「USENが提供しているISP事業を当社(ソネット)が譲り受けることに関し、誠実に協議する旨の合意をしました」。12月の契約締結に先立つこと1カ月、両社は「交渉中」という趣旨の、異例の発表をしたのだ。「二日後に株主総会を控えるUSEN側から、『契約前に事業譲渡の話を公表したい』との要請があった。いわゆる総会対策だ」(ソネット関係者)。

宇野氏は「やや無理なM&Aをして手を広げすぎた。ギャオを始めた途端、競合する米ユーチューブが台頭するなど、いち早く始めたことも裏目に出た」と振り返る。

 2000年代に入るとブロードバンド時代が到来。USENは05年に、既存の有線放送から、ネット上で動画を配信するメディアコンテンツカンパニー構想へと舵を切る。コンテンツ系企業買収も進めた。が、権利処理の手続きに時間を要したギャオを尻目に、著作権侵害をモノともしないユーチューブが一気に巨大化。USEN陣営は手も足も出なかった。

 この12月には、有料動画配信「ユーネクスト」(旧ギャオネクスト)なども切り離す。「これで打ち止め」(宇野氏)となる最後の事業整理だ。自ら描いた大きな絵は結局、結実することなく、USENは祖業の有線放送が大半を占める、元の姿に戻る。

 かつて東京・六本木ミッドタウンに6フロアを構えていた本社も、都内にある坪単価6分の1のビルに移転。年間十数億円もの賃料削減が見込まれ、身の丈経営を進める。

■私財500億円を投入

 切り離した赤字の2事業を背負うのは宇野氏個人だ。

 「6月から譲渡先を探したが、黒字化せず、引き受け手を見つけられなかった。撤退も考えたが、可能性の大きなビジネスと信じており、個人で続けたい」。宇野氏は会社のために、個人で借金するなど、私財を投じた。保有していたインテリジェンス株を中心に、その総額は約500億円に及ぶ。

絶頂時には“イケメンIT社長”ともてはやされた宇野氏。もっとも本人には、仕事人としてのストイックなまでの自負がある。40歳まで酒も飲まず、「午前0時から連日会議を行って社員に迷惑をかけた」(宇野氏)ほど、経営に傾注してきたという。

 「自分は何をやりたかったのか、この1年間考えていた」と宇野氏は静かに述懐した。「USENの社長に復帰することはまずない」。脚光を浴びた著名ベンチャー経営者が、また一人、スポットライトから遠ざかる。

(桑原幸作 =週刊東洋経済2010年11月27日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

宇野社長といえば、本当に時代の寵児そのものだっただろう。有線放送に馴染みがない人も今では本当に多くなってしまった今では、聞きなれない会社になってしまった(かもしれない)大阪有線を、あのUSENにした人だ。

今の若い人たちは、間違いなくUSENの事業を知っている。それはGYAOである。GYAOは完全無料パソコンテレビという標榜でネット界に進出した。記事では、GYAOとYOUTUBEと書いてあるが、GYAOは番組コンテンツも結構しっかりしているし、若者を中心に一定の支持を得ているサービスといっても過言ではないだろう。

そもそも、こういう「時代の流れに乗って経営を多角化していく」という流れは、何も不思議なことではない。第一、家業(?)の有線放送はしっかり持っているのだから、さすがにUSENまでなると資本的に不安がかなり高い(というか、株価を見れば歴然です。今日現在で株価は72円。ちなみに単元株10株ですが。)とはいえ、逆に言えば家業が無かったらどうしようもないベンチャーだろう。

ある程度の資本力があったからの時代の寵児。もちろん、成功パターンではないだろうし、宇野社長の野望の広さも一因と言わざるを得ないだろう。

私が4年前に、こういう噂を聞いた。「USENの宇野社長の弟さんが、渋谷区長選挙に出るらしい。」
渋谷区議選などに関わっていた私は、立候補者説明会に関係者が来ていたという噂まであったので、結構信じ込んだものだった。(結局出馬せず。)しかし、こういう話が出てくるということは、やはり様々な視点から、将来を考えていたに違いないだろう、と今になって振り返るものである。

阿久根市の市長解任に関する住民投票が可決された。

<阿久根市>竹原市長が失職 出直し市長選へ

毎日新聞 12月5日(日)22時32分配信

 鹿児島県阿久根市の竹原信一市長(51)の解職請求(リコール)の是非を問う住民投票が5日、投開票され、解職賛成票が有効票の過半数を占め、竹原市長は失職した。議会を招集せずに専決処分を乱発する強引さで批判を招いた「竹原市政」に対し、市民が初めて「ノー」を突き付けた。1月中旬にも出直し市長選が実施される。だが、結果は大接戦で、竹原氏支持層も目立ち、複雑な阿久根の民意が改めて浮き彫りになった。当日有権者数は1万9756人、投票率は75.63%だった。

 竹原氏は午後11時ごろ、事務所で支持者を前に頭を下げた。記者会見では「市民がいろいろ考え、体験するよい機会」と強気の発言を繰り返した。結果について「市職員の給料を下げるなどしたことで、損害を受けた人が中心に解職の投票をしたと思う」と語った。出直し市長選については「出ます」とだけ短く述べ、サバサバした様子だった。

 出直し市長選には解職運動を主導した市民団体「市長リコール委員会」監事、西平良将氏(37)も出馬を表明している。竹原氏との一騎打ちの公算が大きく、「竹原市政」の是非が再度争われることになる。

 住民投票は「リコール委」が有権者の過半数の1万197人分の署名を集め、10月にリコールを本請求した。竹原市政が「独裁」か「改革」かが最大の争点だった。

 「リコール委」など反市長派は集会や街頭宣伝で「竹原市政は改革ではなく破壊。独善的すぎる」と市民に解職賛成を呼び掛けた。

 竹原氏は市民懇談会などで議会・公務員批判とともに「解職されれば、市民の税金が上がる」などと「改革」の継続を訴えた。

 市長失職に伴い、市は「副市長」の仙波敏郎氏(61)を市長職務代理者とする方針。だが、仙波氏をめぐっては、副市長選任が専決処分で決まったことから伊藤祐一郎知事らが疑問を示しており、職務代理を巡って混乱する可能性もある。

 阿久根では、竹原氏と対立関係にあった議会解散を求めるリコールも進行している。竹原派が主導し、11月末、9266人分の署名簿を市選管に提出。審査を経て請求に必要な有権者数の3分の1の6635人を超えた場合、2月にも住民投票が実施される見通し。市議会(定数16)は、反竹原派が12で過半数。竹原派は2人が除名されたため、現在は2人となっている。【福岡静哉、馬場茂、村尾哲】

ということらしい。
とにかく、次の市長選挙が注目だろう。私の読みとしては、また竹原市長が当選するというのではないか、というものだ。この問題については、以下のような論理を私は常々展開してきた。

1.そもそも、地方自治法におけるリコール署名は有権者の1/3で十分である。これは必ずしも有権者の過半数でないわけで、また署名というのは受任者が署名を取りに行くわけだから、有権者がせいぜい3万弱ぐらいの阿久根市だから、誰が署名した、していないがわかるわけで、集めやすい環境でもある。こういった意味で、リコール署名、解職選挙、市長選挙の中で、最も反市長側にアドヴァンテージがあるイベントが、リコール署名である。

2.解職選挙は、単純に賛成反対である。ここで注目したいのは、解職署名をした有権者が1万人弱であったにもかかわらず、反対をしたのは7000人程度だったところ。必ずしもこういえるわけではないが、投票まではしないと思っている人がある程度いるということだ。

3.ところで、市長選挙が開かれる。選挙であるという時点で、前項と同じ環境である。(行かない人は行かないと思う)それに、恐らく市長反対派の監事を好まない市長反対派もいるだろう。市長反対派には悪条件が更に1つ増えるわけで、今回の票差では、そういった環境で簡単に賛成/反対が変わってしまうのだ。

色々と書いたが、こういうロジックで、基本的には私は、阿久根市長に竹原市長が再選されるであろうという目論見でもある。なお、阿久根市長側も市議会解散署名を集め、既にリコール署名が有効数に達していることを鑑みれば、当分の間、阿久根市政は不安定な情勢が続くだろうということは、付記しておきたい。