宇野康秀氏が退任する。
USENの宇野社長が退任する。
USEN・宇野康秀氏が独白 「なぜ私は辞めるのか」
東洋経済オンライン 12月7日(火)10時52分配信
時代の寵児が表舞台を去る。11月26日、有線放送最大手USENの宇野康秀社長(47)が退任、代表権のない会長に退いた。後任社長には外食チェーン、レックスホールディングス出身の中村史朗顧問(38)が就任。USENは事業不振で業績が低迷。金融機関30行と組んだシンジケートローンの財務制限条項に抵触する状態が続いていた。業界では「金融機関からの退陣要請があった」ともううわさされる。だが宇野氏はあくまで自身の意思だと説明した。「1998年の就任から10年間を節目と考えていた。多くの人に迷惑をかけたので、事業整理が一段落した今、ケジメをつけたい」。
USENはこの1~2年、創業来最大の危機にあった。無料動画配信サービス「ギャオ」など新事業が不振にあえぐ中、2008年秋にリーマンショックが直撃。株評価損も重なり、総額1100億円超の最終赤字を計上した。
これを受け、09年4月にはギャオを売却。映画配給ギャガ、カラオケ、ネット接続、さらに宇野氏自らが創設した人材紹介会社インテリジェンスと、拡大してきた業容を再び縮小した。それでも今年年初に発表した09年9~11月期決算では、純資産わずか10億円、自己資本比率0.4%と、債務超過ギリギリまで追い詰められていたのである。
■社運賭けた事業が失敗
09年11月にソネットエンタテインメントと提出した1枚のリリースは、当時の経営の逼迫状況を物語る。
「USENが提供しているISP事業を当社(ソネット)が譲り受けることに関し、誠実に協議する旨の合意をしました」。12月の契約締結に先立つこと1カ月、両社は「交渉中」という趣旨の、異例の発表をしたのだ。「二日後に株主総会を控えるUSEN側から、『契約前に事業譲渡の話を公表したい』との要請があった。いわゆる総会対策だ」(ソネット関係者)。
宇野氏は「やや無理なM&Aをして手を広げすぎた。ギャオを始めた途端、競合する米ユーチューブが台頭するなど、いち早く始めたことも裏目に出た」と振り返る。
2000年代に入るとブロードバンド時代が到来。USENは05年に、既存の有線放送から、ネット上で動画を配信するメディアコンテンツカンパニー構想へと舵を切る。コンテンツ系企業買収も進めた。が、権利処理の手続きに時間を要したギャオを尻目に、著作権侵害をモノともしないユーチューブが一気に巨大化。USEN陣営は手も足も出なかった。
この12月には、有料動画配信「ユーネクスト」(旧ギャオネクスト)なども切り離す。「これで打ち止め」(宇野氏)となる最後の事業整理だ。自ら描いた大きな絵は結局、結実することなく、USENは祖業の有線放送が大半を占める、元の姿に戻る。
かつて東京・六本木ミッドタウンに6フロアを構えていた本社も、都内にある坪単価6分の1のビルに移転。年間十数億円もの賃料削減が見込まれ、身の丈経営を進める。
■私財500億円を投入
切り離した赤字の2事業を背負うのは宇野氏個人だ。
「6月から譲渡先を探したが、黒字化せず、引き受け手を見つけられなかった。撤退も考えたが、可能性の大きなビジネスと信じており、個人で続けたい」。宇野氏は会社のために、個人で借金するなど、私財を投じた。保有していたインテリジェンス株を中心に、その総額は約500億円に及ぶ。
絶頂時には“イケメンIT社長”ともてはやされた宇野氏。もっとも本人には、仕事人としてのストイックなまでの自負がある。40歳まで酒も飲まず、「午前0時から連日会議を行って社員に迷惑をかけた」(宇野氏)ほど、経営に傾注してきたという。
「自分は何をやりたかったのか、この1年間考えていた」と宇野氏は静かに述懐した。「USENの社長に復帰することはまずない」。脚光を浴びた著名ベンチャー経営者が、また一人、スポットライトから遠ざかる。
(桑原幸作 =週刊東洋経済2010年11月27日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
宇野社長といえば、本当に時代の寵児そのものだっただろう。有線放送に馴染みがない人も今では本当に多くなってしまった今では、聞きなれない会社になってしまった(かもしれない)大阪有線を、あのUSENにした人だ。
今の若い人たちは、間違いなくUSENの事業を知っている。それはGYAOである。GYAOは完全無料パソコンテレビという標榜でネット界に進出した。記事では、GYAOとYOUTUBEと書いてあるが、GYAOは番組コンテンツも結構しっかりしているし、若者を中心に一定の支持を得ているサービスといっても過言ではないだろう。
そもそも、こういう「時代の流れに乗って経営を多角化していく」という流れは、何も不思議なことではない。第一、家業(?)の有線放送はしっかり持っているのだから、さすがにUSENまでなると資本的に不安がかなり高い(というか、株価を見れば歴然です。今日現在で株価は72円。ちなみに単元株10株ですが。)とはいえ、逆に言えば家業が無かったらどうしようもないベンチャーだろう。
ある程度の資本力があったからの時代の寵児。もちろん、成功パターンではないだろうし、宇野社長の野望の広さも一因と言わざるを得ないだろう。
私が4年前に、こういう噂を聞いた。「USENの宇野社長の弟さんが、渋谷区長選挙に出るらしい。」
渋谷区議選などに関わっていた私は、立候補者説明会に関係者が来ていたという噂まであったので、結構信じ込んだものだった。(結局出馬せず。)しかし、こういう話が出てくるということは、やはり様々な視点から、将来を考えていたに違いないだろう、と今になって振り返るものである。
USEN・宇野康秀氏が独白 「なぜ私は辞めるのか」―【私の論評】eコマースの本質は「広告」であることを見抜けなかった??
ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」
こんにちは。USEN、宇野氏が退くことになりました。彼自身、いろいろ言い訳をしていますが、失敗の本質は明らかです。特にGyaoに関しては、動画配信そのもので何らかの収益をあげようとしたことが失敗の大きな要因です。現在成功しているeビジネスの本質は広告です。Googleの収益の95%以上は今でも広告です。だから、宇野氏も本来動画配信そのもので収益をあげるのではなく、動画配信というシステムを人を多く集めるための、プラットフォームとするビジネスモデルを考えるべきだったのです。このような失敗をする人は、宇野氏が最後になることでしょう。もう、ただの先新技術、先進的アイディアというだけで、収益源の明確でない、eコマースには誰も投資しないでしょう。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。