カテゴリー : 音楽紹介

鮎の独断と偏見で撰ぶクラシック名演奏集(3)

『トリッチ・トラッチ ポルカ』 作品214  演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1992年ニューイヤーコンサート
Tritsch-Tratsch-Polka op. 214 played by VPO and Carlos Kleiber on 1992 NewYear’s concert


動画2曲目です。冒頭の威勢の良さといい、一連の旋律には凄い勢いがあって、聞いている方も気分が高揚してくる曲です。もともとは合唱付きであって、そっちを知っているとさらにメロディの美しさを楽しめる曲です。高音域が長く続く曲だと思いますが、トリッチトラッチが「女性のおしゃべり」という意味らしいので、なんとなく納得してしまう。運動会で聞いたことある人ももしかしたらいるかも知れませんね。個人的には、このカルロス・クライバー指揮の速い演奏が大好きです。

そもそもカルロス・クライバーが好きになったのは、「この」指揮なのに、迫力を全面に出した演奏で、でも乱れることが殆ど無くて、むしろ「この」指揮が落ち着いて見えるのに安定しまくっているという、その優雅さに憧れるからなんでしょうか。リハーサル映像を見たことがありますが、めちゃくちゃ厳しい。だからこそ完成されるんでしょうな。。。

ちなみに合唱有りは以下。

指揮:クラウディオ・アバド
演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
合唱:ウィーン少年合唱団

追記:ちなみにこの曲、あのシフラ編曲のピアノ版があるのでも有名ですね。音質が残念ですが、どうぞ。最後の左手の跳躍は必見。

東京交響楽団特別演奏会ニューイヤーコンサート2011

東京交響楽団特別演奏会ニューイヤーコンサート2011に行ってきました。
簡単に、以下レビュー。

ちなみに、先に申し上げると、僕の席は2階席AL‐4‐13でした。大ホール向かって左側2階席4列目13番、ちょうどステージ真横です。なのでピアノの手元丸見え!3日前に電話だったのでC席となりましたが、色々な意味でとてもいい席でした。

J.シュトラウスⅡ: オペレッタ『こうもり』序曲

幕開けにふさわしい一曲でした。冒頭の3連符がとてつもなく迫力あって、会場の大きさ、生演奏が始まったなー!という。
一般的なリズムよりも若干遅いようなイメージはありましたが、それでも荘厳な感じの中間部といい、流れが綺麗でした。

チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 op.23

チャイP協1番!ここで中村紘子氏登場。チャイP協1番は、マルタ・アルゲリッチの音源ばかり聞いていたからか、ちょーっと遅く感じてしまったが、なかなかのもの。気になったのはやはりミスタッチかな、、、正直第1楽章ではそっちが気になる部分もしばしば。あとはオケとの噛み合わせがどうなのだろう、っていうところ。でも第2楽章ではだいぶ持ち直したし、ソロパートでは優雅なメロディが流れていました。第3楽章後半はオケとの息もかなりあっていて、重音の厚さが良い感じに響き渡りました。

(アンコール1曲目)ショパン:華麗なる円舞曲(ワルツ第2番)

実はこの曲、題目と曲が一致していなかった。(大円舞曲とかいろいろあるじゃない、、、と言い訳したらいけないね)
さっきのP協と打って変わっての綺麗な音が飛び回るような、特に高い音がキラキラ輝くようなメロディには正直惚れました。力技の曲も凄い勢いあっていいけれど、繊細な部分もかなり良いんじゃないか、むしろそっちの方が「美しさ」的には近いのかな、と感じました。

(アンコール2曲目)ブラームス:ハンガリー舞曲第1番

知ってる曲だっ!って気づいてから曲名を思い出すまで僅か1秒。打って変わって力強いメロディですね。高音から低音へ駆け下がる、ないしはその逆で低音から高音へ駆け上がるあの速さは凄い。ただ、同時に低音がちょっと爆音すぎて、高音のキラキラ音が潰れてしまうところがあってちょっと残念。しかし主旋律2回目直後の駆け上がり/駆け下りからクライマックまでの左手が力強くてとても印象的。この曲だけではないけれど、中村紘子で情熱的というイメージを持つとは思わなかった。

(アンコール3曲目)ショパン:英雄ポロネーズ(作品53)

まさかのアンコール3曲目ですよ。これには会場も爆笑。(いや、2曲目でも笑いは起きていましたが、特にカーテンコールが長かったからか、やるのかな~やらないのかな~という流れの中で。)でも、中村紘子に期待してきた方もいらっしゃるだろうし!

んで、そんな私も大の「英雄ポロネーズ」好きな訳で。うーんと、正直言うと「英雄っ!」っていう感じは(特に最初の主題部は)しなかった。というよりはもっと高貴な、貴族のような人のイメージ。ミスタッチは思ったより少なくて、安心して聞けた。

凄かったのは主題部が終わってトリオ(中間部)。左手のオクターブ連打が激しくて、そしてかなりな爆音。今日初めて、低音の良さが発揮されたと言っても過言ではないぐらい。そして速い!!あの速さは(言葉にしていいのかわからないけれど)年齢を感じさせない速さだった。そのまま勢いは全く止まらないまま、コーダに。コーダは熱狂的というか、いっきに英雄、、、いや皇帝か。高音のキラキラと低音の響きが本当にアンサンブルしていました。

長くなったので、こんな動画をどうぞ。昔の物です。

ドヴォルザーク:交響曲 第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」

お恥ずかしながら、第1楽章からちゃんと音源やコンサートで聞くのは初めて。(作業用BGMで聞いたことはあるかもしれないが)いや、迫力あっていいです。特にイングリッシュホルンの家路(第2楽章)の音が本当にきれいで、演奏後は一人起立で拍手受けていました。いやあ、あのメロディだけで泣かせるよなあ、と。あとは第4楽章の迫力と言ったら、やっぱり生で聞くのは違いますね。超がつくほど有名な主旋律ですが、やはり爆音で鳥肌が立ちました。ちゃんと演奏中たった1回だけのシンバルも聞き漏らしませんでしたよ。

(アンコール)ヨハン・シュトラウスⅠ:ラデツキー行進曲

ニューイヤーコンサートだから、演奏するかな!?とは期待していましたが、その期待通り。
指揮者入場中に、左手で出した指示で、有名なスネアドラムが始まるという。始まった最初は全体として、ちょっと軽い印象もありましたが、そうかあとあと拍手が入ったらちょうどいい感じ。拍手の無い中間部分は本当にきれいなメロディの流れでしたよ。最後に盛り上がることが出来て、大変満足でした。

と、まあいろいろ書きましたが、ふとホームページで見つけてすぐ予約という、急な予定になったかいあってか、大変素敵なコンサートでした。また近いうちにコンサート行きたいなー。うん。

鮎の独断と偏見で撰ぶクラシック名演奏集(2)

『パガニーニによる大練習曲』第3番 嬰ト短調 (ラ・カンパネラ) 演奏:アンドレイ・ガヴリーロフ 
Grandes Etudes de Paganini, S. 141 played by Andrei Gavrilov


ラ・カンパネラというと、やはり日本人は第一にフジ子・ヘミング氏の演奏が出てくるんだと思うが、あれはあれで、これはこれ。
そもそもフランツ・リストのエチュードなのだから、早く演奏すること自体を否定するのは間違っていると思うのだよね。もちろん、フジ子・ヘミング氏の演奏は我々日本人の鐘を彷彿とするような厳かな、しかし綺麗な力強さがあって好きなのだけれど。

ガヴリーロフもそうだけれど、リスト演奏者ってショパン、ラフマニノフ、プロコフェイフあたりがやはり得意になるのだろうか。マルタ・アルゲリッチにしてもそうだけれど、本当に力強い。

そしてガヴリーロフはなんといっても、このトリルの速さ。45指トリルもそうだけれど、ラ・カンパネラは正直トリルが鍵っていうのもあって、この速さはすごいなー。と。

あとはクライマックスですよね、コメントにもあったけれど、手が見えなくて本当に残念。演奏者の感情移入も素晴らしくって、本当に「練習曲である」ラ・カンパネラの演奏って感じでいいと思います。