南北朝鮮の軍事的問題が緊迫している。

まさに南北朝の動乱、といったところだろうか。

先日の北朝鮮による韓国延坪島への砲撃は、結果的に民間人2人を含む4人が亡くなるという結果となってしまった。この砲撃によって、軍事的緊張が高まったのは間違いない。この事件から今後の展望を考えることは容易くないが、それ以上にこの軍事的緊張を日本がどう捉えるべきか、というところに僕的関心が集まっている。

そもそも、約60年ほど前にはじまった朝鮮戦争(※注:南北朝鮮は現在も朝鮮戦争中であり、現在はあくまで休戦中であるという認識を忘れてはならない)において、日本は連合国側に立っていたわけだが、当時は自衛隊すらない時代(※注:朝鮮戦争を契機として、1950年に警察予備隊が結成され、後の保安隊および自衛隊となる。厳密には警察予備隊の創設は朝鮮戦争勃発の約2か月後だったはず)で、国防と経済復興という2つの大きな国是に良い機会を与えたのは事実だろう。当然、軍需が発生したわけで、日本は地政学的リスクよりもその恩恵の方が多かったというのが認識でもある。

しかし、今回はどうだろうか。東西冷戦の代理戦争の一つでもあった朝鮮戦争だったが、今回はそういう訳にはいかないはずだ。既にロシアが北朝鮮を全面的に支援するという可能性は低いだろう。当然、中華人民共和国が北朝鮮を支援することは往々にしてあり、そういった意味ではアメリカ合衆国対中華人民共和国という縮図を描くといったほうが、まだ妥当かもしれない。

その場合は、中華人民共和国と日本との間の経済活動に大きな支障が出る可能性は否定できない。レアアース問題であれだけ騒いだ訳だが、輸入だけではなく輸出に関しても、地政学的リスクと同時に政治的問題からの支障が出ることは否定できないはずだ。(実際にそのような問題が発生する場合、ほぼ間違いなく中華人民共和国政府側による制裁になるはずだ。日本がそういった経済制裁などを行うことは、先制だけはまずないだろうし、中華人民共和国側に先制されても二の足を踏む可能性が高いのではないだろうか。)

経済的な恩恵というよりは、戦争において一般的に言われる地政学的リスクの方が、今回は大きいのではないかと思う。特に長距離弾道ミサイルや中距離弾道ミサイルは、沖縄の在日米軍を十分にターゲットとして射程距離に入れている。仮に第二次朝鮮戦争となった場合には、在日米軍の主軸は60年前と変わらず沖縄であるのだから、沖縄の経済活動が日本の経済活動に与える影響が軽微だとしても、やはり有事のドルという意味では、日本からの逃避が進むだろう。

唯一、最近の円高ドル安傾向がここ数週間で落ち着いてきているのが救いだろうか。有事のドルのお蔭でもあるが、この傾向がどこまで続くかは見極めなければならない。特に日本経済の指標(東証平均でもいい)を注目しておかないと、為替の変動以上の問題が起きる可能性も否定できないだろう。


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