ノーベル化学賞について

ノーベル化学賞に日本人が選ばれたというニュースが、昨日入ってきた。午後7時ごろのことだ。
客先だったので、なんとも表に出さない表情で喜んでしまったのだが、技術立国日本だからこそ、研究者たる方々の、これからの研究にもモチベーションあがることだろう。

さて、そのニュースについて、気になる点があった。

根岸・鈴木氏、特許取得せず…栄誉の道開く一因

読売新聞 10月7日(木)12時46分配信
 今年のノーベル化学賞に決まった根岸英一・米パデュー大学特別教授(75)と鈴木章・北海道大学名誉教授(80)は、パデュー大の故ハーバート・ブラウン博士の下で学んだ同窓生だが、2人とも、受賞対象となった技術について特許を取得しなかったという点でも共通している。 経済的なメリットは逃したかもしれないが、特許を取らなかったことで技術は世界へ広く普及し、研究者最高の栄誉へと道を開く一因にもなった。 根岸氏は6日、受賞者発表会場のストックホルムからの電話インタビューで、クロスカップリングについては特許を取得しなかったと明かした。根岸氏は「特許を取得しなければ、我々の成果を誰でも気軽に使えるからと考え、半ば意識的にした」と述べた。

確かに、彼らの主張は素晴らしいことだ。研究のスピードを速めるため、特に生産技術に多大な進歩を残した受賞者の方々の発明は、その応用性を鑑みれば、特許による様々な縛りが起きなかったことが、今の生産技術発達という「結果」をもたらしたに違いない。なので、繰り返し言うが、意図的に特許を取らないという方法によって、技術発明の世界に貢献したことは、非常に喜ばしいことである。

然し、そこで考えなくてはならないのが、「たとえば特許を取って、その利用料・ライセンスをフリーにする」ということはできなかったのだろうか。例えば、昨今の技術やノウハウは、(ソフトウェアであれば)オープンソースという形で、無償にて提供される。それが営利的なものか、非営利的なものかについてのみ、場合によればその権利に制限がかかることはあるが、たとえばWordPressなどであれば、それすら問題ではない。

なぜそういう疑問を提示するかといえば、答えは簡単である。すなわち、「(受賞者と)同じ考えを持たないよからぬ輩に、特許を取られてしまうというリスクは考えたのか」という一疑問があるからである。この技術を応用して利用しようと考える研究者は、当然この技術発明についてある程度の見識・知識を有することとなるはずだ。その際に、この技術から応用発展する成果物に対して保護を加えるため、前掲した「あくどい」ことをする人はいなかったのだろうか。

もっとひどいことを言えば、そういった技術を盗むことを専門にする方々もいらっしゃる。特に最近は某アジアの国なんかで、そういった問題が非常に多い。知的財産権と技術発明とは切っても切れない関係だからこそ、発明と発明者に対する保護=特許、という枠組みではなく、「発明者の発明した意図、その意向」が反映されるような権利関係の改善糸口が見つかれば、技術立国日本がこれ以上大きな問題を抱えなくて済むと思うのだが。。。


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