学生団体の社会的責任について

あんまりこういうのは主張していると友達へりそうな気がするけれど。

最近、学生団体の社会的な責任について考えさせられることが多い。
というのも、色々な学生団体様と関わってくる中で、その社会的責任について疑問を持つことになる物も多いのだ。

ここでいう社会的責任というのは、個々の学生団体がそれぞれ目指すビジョンについてではない。というのも、多くの学生団体というのは、社会的利益の為に動くという前提があるし、それを考えたら「公益的団体」なわけだから、社会的に貢献していくという意味で、ビジョンに責任がないという団体は少ない。

僕が主張をするのは、そういう公益性を求める団体の中でも、(NPO法の言葉を使えば)「本来事業」ではなく「その他事業」に夢中になってしまう団体が怖いのと、さらに言うなれば、これが一番言いたいことなのですが、「事業の結果で得た利益について納税をしない」団体、すなわち「脱税団体」に他ならない学生団体は、これは社会的責任を果たしていない、無責任だ。ということです。

大事なことで繰り返しますが、僕はですね、

今の日本における学生団体は、日本最大の脱税団体になりつつある。

ということを危惧しているのです。

まず、この主張の適法性について、説明していきましょう。
学生団体の定義を「法人登記をしていない、学生の組織」とする。こういった組織は、いわゆる「権利能力なき社団」や「人格のない社団等」と呼ばれるものである。

この後者の表現は、法人税法からの引用だが、その法人税法には、以下の通りある。

第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(中途略)
8.人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
(以下略)
第3条 人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第2を除く。)の規定を適用する。

ということは、以上をまとめると、法人ではない社団や財団でも、代表者が決まっているものについては、法人税法が適用され、法人税の支払い義務があるということになる。それでもって、法人税を支払う対象となる33事業というのが、以下の通りになる。

(1)物品販売業(2)不動産販売業(3)金銭貸付業(4)物品貸付業(5)不動産貸付業(6)製造業(7)通信業(8)運送業(9)倉庫業(10)請負業(11)印刷業(12)出版業(13)写真業(14)席貸業(15)旅館業(16)料理店業その他飲食店業(17)周旋業(18)代理業(19)仲立業(20)問屋業(21)鉱業(22)土石採取業(23)浴場業(24)理容業(25)美容業(26)興行業(27)遊技所業(28)遊覧所業(29)医療保健業(30)技芸教授に関する業(31)駐車場業(32)信用保証業(33)無体財産権提供業 ― 法人税法施行令第5条第1項

難しくなってきたかもしれないが、普通に会費だけ集めている分にはいいのだけれど、まあ例えばそこで物販したりとかさ、そういうのは課税対象になるよ、ってことです。あとは(12)出版業とかもそうですよね、たとえばフリーペーパー作ったりという学生団体はかなりあるとは思いますが、そういうのも課税対象。営業代行とかの代理業とかもそうです。

あと、もう一つ、これは法的な問題ですが、許認可が必要なものはちゃんと許認可とってやるべきだよね、っていう話です。たとえば人材派遣や人材紹介がそうかな、って思います。これも別にちゃんとやってればいい話なんです。ただ、なかなか人材派遣業や人材紹介業ってのが許認可取るの大変です。そういったときに「学生団体だからいいんだ」という解釈は、あれは無責任だ、という主張です。

もちろん、様々な良いことをしようとしている学生団体が、こういった法的しがらみなどで、行動が制約されたり制限されることが一概にしょうがないとは言えないと思います。今後こういったところは改善されていくべきだと。

ただ、様々なしがらみを「上手く」乗り越えていくことこそが、学生のうちに経験として学ぶことであって、並んでいるハードルをものの見事に倒して突き進んでいくことを学ぶ場ではないと思うのですよ、学生団体という場所は。

良いことをしていれば、納税の義務がないとか、法律を守る必要がないとか、そういう考えは絶対にやめなければなりません。そういう風潮が、学生の質を、そして信頼を下げてしまう結果になるということを、学生団体のリーダーたる人材は、気づくべきなんじゃないかな、って思います。

最後に書いておきますが、学生団体が全部が全部そうではありません。法人登記している学生団体(全国規模だとアイセックだとか、まあ話題の(?)スプリングウォーターとかもそうですよね)もありますし、例えば許認可が不必要なケースでやっている場合、個人事業主としてやっている場合、など様々だと思います。それぞれが貴重な経験だと思うからこそ、こういう社会的責任についてちゃんと果たしていく、というコンプライアンス重視の考え方を若いうちに身につけることが、これからのユースリーダーに最も求められることなのではないのでしょうか。


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